老いたギター弾き ピカソ

物憂げにギターを弾く老人 陰鬱な青色とマニエリスム風フォルム

ピカソ「青の時代」にあたる1903年に描かれた絵画作品「老いたギター弾き」(Le Vieux Guitariste/The Old Guitarist)。友人カサジェマス(カサヘマス)の事件、ピカソ自身の経済的な窮状、タヒチでのゴーギャンの死など、ピカソを取り巻く困難・悲劇・不安が作風にも反映されているようだ。

老いたギター弾き 122.3cm × 82.4cm 1903年 油彩・板
シカゴ・アート・インスティテュート(The Art Institute of Chicago)蔵

マニエリスム風の歪みと暗い青色

バルセロナへ帰国中に描かれたこの作品は、スペインの画家エル・グレコに見られるマニエリスム風の歪みが見られる。全体の色調は「青の時代」を象徴するような暗い青色で統一され、ギターを弾く老人の歪んだフォルムは窓枠やギターの造形的な明確さによって支えられている。なお、実際の作品は上の参考画像よりも青い色調。

なお、エル・グレコの影響が見られるピカソの絵画作品としては、「青の時代」を象徴する作品とされる「人生 La Vie」(1903年)が特に有名なほか、キュビズムの時代に描かれた「アヴィニヨンの娘たち」(1907年)などがある。