ウジェーヌ・ドラクロワ
Eugène Delacroix/1798-1863
フランス・19世紀ロマン主義を代表する巨匠
19世紀フランスにおけるロマン主義を代表する画家ウジェーヌ・ドラクロワ(Eugène Delacroix/1798-1863)。劇的な場面構成と優れた色彩表現でゴッホやルノワールなど後世の画家にも影響を与えた。
史実を基にした「キオス島の虐殺」、「サルダナパールの死」などの作品を残し、代表作としてはフランス7月革命を題材とした「民衆を率いる自由の女神」が特に有名。
右作品は、ドラクロワ本人による自画像(1837年)。
フランス7月革命をテーマとした「民衆を率いる自由の女神」
「民衆を率いる自由の女神 La Liberté guidant le peuple」 1830 ルーヴル美術館
1830年のフランス7月革命を題材としたドラクロワの代表的な絵画。日本の歴史教科書などで挿絵として使われることが多く、日本国内における作品自体の知名度は高い。
フランス国旗を掲げて群衆を先導する女性が、あたかもフランスの国民的英雄ジャンヌ・ダルクを彷彿とさせ、同胞の遺体を乗り越えて自由への闘争を繰り広げる民衆の壮絶な争いの一幕が力強く表現されている。
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愛の逃避行を繰り広げたショパンとジョルジュ・サンドの肖像画
ジョルジュ・サンドの肖像/フレデリック・ショパンの肖像 1838 ルーヴル美術館
言わずと知れたポーランドのピアニスト・作曲家のフレデリック・ショパン、そしてショパンの恋人として1838年にスペイン・マジョルカ島に半年ほどショパンと過ごしたフランスの女流作家ジョルジュ・サンドの肖像画。デッサンの段階では、二人を同じ一枚の絵に収める形の作品だったという。
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白い靴下の裸婦
「白い靴下の裸婦(白靴下の女) Femme aux bas blancs」 1825-26 ルーヴル美術館
裸婦を描いた絵画といえばゴヤ「裸のマハ」が有名だが、ドラクロワも印象的な裸婦画を残している。女性の向きはゴヤの作品とは逆で、対角線上に肢体を伸ばした女性の肌色と真紅のカーテン、暗部の黒、そして白い靴下の色彩の対比が素晴らしい。
北アフリカのハーレムに佇む気だるいアルジェの女たち
「アルジェの女たち Femmes d'Alger dans leur appartement」 1834 ルーヴル美術館
ドラクロワが政府使節団に同行して北アフリカへ旅行した際、アルジェリアの首都アルジェに滞在し、官能的で異国情緒あふれるハーレム(ハレム)に居住する女性らを描いた作品。スケッチを基に帰国後に製作された。
女らは気だるい雰囲気で佇み、傍には従者らし黒人女性が対比的に描かれ、さらに窓から差し込む日差しが生み出す光と影の対比も示されており、当時としては画期的な色彩の多様性を表した本作品は、ピカソやルノワールなど後世の画家らに大きな影響を与えた。