放蕩息子の帰郷 レンブラントの絵画
多くの画家たちがモチーフとした新約聖書のストーリー
『放蕩息子の帰郷』は、バロック絵画を代表するオランダの画家レンブラントによる晩年(1666年から1668年頃)の作品。エルミタージュ美術館所蔵。
新約聖書「ルカの福音書」に登場する「放蕩息子(ほうとうむすこ)のたとえ話」(Parable of the Prodigal Son)に基づいている。
挿絵:レンブラント「放蕩息子の帰還」1666-68 エルミタージュ美術館
多くの画家たちがこの「放蕩息子のたとえ話」に基づく絵画を残しているが、特にレンブラントの作品が知名度が高い。
ルカによる福音書 放蕩息子の帰郷
ある人に息子が二人いた。弟の方が父親に、『お父さん、わたしが頂くことになっている財産の分け前を下さい。』と言った。それで、父親は財産を二人に分けてやった。
何日もたたないうちに、下の息子は全部を金に換えて、遠い国に旅立ち、そこで放蕩の限りを尽くして、全財産を無駄使いしてしまった。
何もかも使い果たしたとき、その地方にひどい飢饉が起こって、彼は食べるにも困り始めた。それで、その地方に住むある人の所に身を寄せたところ、その人は彼を畑にやって豚の世話をさせた。彼は豚の食べるイナゴ豆を食べてでも腹を満たしたかったが、食べ物をくれる人は誰もいなかった。そこで、彼は我に返って言った。
『父のところでは、あんなに大勢の雇い人に、有り余るほどのパンがあるのに、わたしはここで飢え死にしそうだ。ここをたち、父のところに行って言おう。「お父さん、わたしは天に対しても、またお父さんに対しても罪を犯しました。もう息子と呼ばれる資格はありません。雇い人の一人にして下さい」と。』
そして、彼はそこをたち、父親のもとに行った。ところが、まだ遠く離れていたのに、父親は息子を見つけて隣(あわ)れに思い、走り寄って首を抱き、接吻した。息子は言った。
『お父さん、わたしは天に対しても、またお父さんに対しても罪を犯しました。もう息子と呼ばれる資格はありません。』
しかし、父親は僕(しもべ)たちに言った。
『急いで一番良い服を持ってきて、この子に着せ、手に指輪をはめてやり、足に履き物を履かせなさい。それから、肥えた子牛を連れてきて屠(ほふ)りなさい。食べて祝おう。この息子は、死んでいたのに生き返り、いなくなっていたのに見つかったからだ。』
そして、祝宴を始めた。
(引用)日本聖書協会「新共同訳」ルカによる福音書 第15章11~24節
映画「マトリックス」でも言及
ちなみに、映画「マトリックス・レボリューションズ」でセラフがトリニティーとスミスと3人でメロビンジアンの所へ乗り込んでいくシーンで、メロビンジアンが「The prodigal son returns」というセリフを言ったのは、この"Parable of the Prodigal Son."の暗喩(オラクルの味方についたセラフが戻ってきたため)。
また、ローリング・ストーンズのアルバム「ベガーズ・バンケット」にもこの「放蕩息子の帰郷」をモチーフにした曲が収録されている。
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